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発明の対価と日本の経営者

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                                                              中村修二氏
発明の対価と日本の経営者

2014ノーベル物理学賞受賞が決まった中村修二氏が、今、日本に来ている。

中村氏は2001年、「青色LED発明の対価」を求め日亜化学工業を提訴した。
提訴のきっかけは、私の記憶によると、中村氏が米国サンタバーバラ校教授になったこと自体が日亜化学の特許漏洩問題だということに頭にきた中村氏が提訴に踏み切ったということであった。因みに「職務発明」のこの種の提訴は珍しいものではないが、大発明に対する金額の大きさで話題になった。


東京地裁の2004年1月の判決は「産業界待望の世界的発明を独力で成し遂げた」とし、総利益約1200億円余の半分を中村氏の貢献と認め「発明の対価」を約604億円と算定。ただ請求額が200億円だったため、言い渡された支払い命令額は200億円」だった。日亜化学が東京高裁に控訴し、8億4391万円を支払うことで2005年1月に和解が成立した。

「おねだり」好きな経済界(経団連)は、現行法で発明者である従業員に帰属している「職務発明」の特許を受ける権利を法人帰属とすることを認めるよう安倍政権に「おねだり」している。経済界の言い分は、日本に開発拠点を置くと、海外に開発拠点を持つより競争に不利で国際競争力を削ぐなどとしている。


今の日本の経営者はリスクを冒さないというより、安全第一の「屁たれ集団」である。従業員に対する分配を減らし、自分の周りに資本を蓄え惰眠をむさぼり冬眠している。投資することなく安全運転だけを目指すので資本が回転せず利潤を生まない。官僚組織も無駄な省益に資本を使い日本の借金を増やし、資本の回転を妨げ、不況を誘引している。日銀は間違いだらけの運営をして日本企業を海外へ追い出したが、黒田総裁の登場までそれを自覚する能力すらなかった。

日本で能力があるのは、もの作りの職人、科学者、技術者である。経営者、官僚に、職人、科学者、技術者の足を引っ張る権利はないと知れ!!! 安倍政権はこれを理解せよ。理解できなければ第3の矢は失速し「アベノミクス」は失敗する。

日本の経営者の間では「特定の発明者にだけ巨額の報酬を与えるのはおかしい」という意見が多い。
「発明者は作曲家や作詞家と同じで、最も尊敬されるべき存在」である。これが世界の潮流である。
みんなでやりました。多くの社員の努力が実りました。これには悪平等な場合がありますよ。

ノーベル賞 独創性と科学的な価値

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       赤﨑 勇氏                天野 浩氏                  中村修二氏

ノーベル賞 独創性と科学的な価値

山中伸弥氏は2012年ノーベル医学生理学賞をケンブリッジ大学名誉教授ジョン・ガードン博士と二人で受賞した(2012年12月11日)。<←クリック> 受賞のとき、山中氏は「iPS細胞(万能細胞)という仕事単独では今回の受賞はなかったと思います。自分ではこれは便乗受賞だと思います」と謙虚だった。

今回の青色LEDの受賞でも天野浩氏は、「赤崎先生の受賞は当然。中村先生も、優れたデバイスの特性を学会で発表していたので当然。私が入っていることだけが、よくわかりません」「私はたぶん、平均的な日本人だと思う。こんなのでも取れたということで励みになると思う」と謙虚だ。

山中伸弥氏の関連研究の経過(2012年12月11日の写真参照)
1962年 生物学者ジョン・ガードン博士がアフリカツメガエル(両棲類)のクローンをつくりだした。
1997年 イアン・ウィルムット氏が羊のクローン(ドリー)をつくりだした(哺乳類初)。
2006年 山中教授は、臓器細胞の初期化に成功し、山中因子と呼ばれる4遺伝子を発表した。
この中で、哺乳類羊のクローン(ドリー)をつくりだしたイアン・ウィルムット氏はノーベル賞を受賞していない。
ノーベル賞レベルの独創性が認められなかったと思われる。

青色LED開発者のそれぞれの独創性
赤﨑 勇氏、天野 浩氏、中村修二氏3名がノーベル賞を受賞したが、3名それぞれに独創的で科学的な受賞理由があったから受賞した。一方、羊のクローン(ドリー)をつくりだしたイアン・ウィルムットが受賞できなったことは、ノーベル賞の本質を考えるうえで非常に興味があり参考になることである。
特許制度では工業製品化への到達という観点から中村修二氏の成果が勝訴したが、ノーベル賞は3名の独創性をそれぞれ認めている。その違いが面白いと思うし納得できる。


私は、山中伸弥氏と天野浩氏に謙虚さという日本人の美徳を感ずる。
一方、中村修二氏の科学者、研究者としての日本人離れした「自己主張」は昔から大好きで支持している


「青色LEDの発明」で日本人3名がノーベル賞受賞

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                                                        青色発光ダイオード

「青色LEDの発明」で日本人3名がノーベル賞受賞

スウェーデン王立科学アカデミーは、10月7日、2014年ノーベル物理学賞を、
赤﨑 勇氏 名古屋大学特別教授・名城大学終身教授
天野 浩氏 名古屋大学教授
中村修二氏 カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授    の3名に授与することを発表した。


受賞理由は、
「明るくエネルギー消費の少ない白色光原を可能にした高効率な青色LEDの発明」
「20世紀は白熱灯が照らし、21世紀はLEDが照らす」
 と説明した。
 ※ LED light emitting diode 発光ダイオード  

一挙に3名もの受賞者を輩出したことは日本人として大変喜ばしく誇らしい。(中村修二氏は現在アメリカ国籍)


この研究は、工学的な色彩が強く、ノーベル物理学賞としてはやや異色と思われるが、理解しやすい。
赤﨑勇氏は、
京都大学理学部卒業後、神戸工業(現富士通)、名古屋大学助教授、松下電器、名古屋大学教授、・・・
中村修二氏は、
徳島大大学院修士課程修了後、日亜化学工業入社、その後カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授となる。
上記のように二人の受賞者には民間企業における研究歴があり、それが大きな特徴である。

赤岩・天野氏と中村氏は研究開発を競ったライバルでもある。
赤岩・天野氏は豊田合成、新技術開発事業団と組んで先行し、中村氏の日亜化学が急追した。双方とも多数の特許を取得し、特許権侵害を互いに提訴し合った。2000年東京地裁は日亜化学勝訴の判決を下した。


津波堆積物   JpGU(日本地球惑星科学連合) 2014

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日本丸   最終日5月2日朝、桜木町から会場パシフィコ横浜まで歩いた。その途上に撮影。

津波堆積物   JpGU(日本地球惑星科学連合) 2014 

福島第一原発事故の経緯を検証すると、最も頼りになる予知・予測法は「津波堆積物」の調査・研究である。
その手法は、津波堆積物の調査により、地震・津波の過去の履歴を知ることである。
「地震予知」は機能せず役に立たないどころか、「津波堆積物」の研究などの前に立ちはだかり、むしろ邪魔をした。


「古きをたずね、新しきを知る」という言葉があるが、地球の歴史、地震・津波の歴史についても言えることである。
「クラシック」という言葉があるが、本来、典型・類型(の繰り返し)を知るという意味だという。
この意味で、「津波堆積物」による地震・津波の研究は「クラシック」である。


この分野の著名な研究者に、箕浦幸治(東北大)、平川一臣(北大)、岡村 眞(高知大)、宍倉正展(産業技術総合研究所)などがいる。

この分野の研究と「地震空白域」の関係・対応が議論されたことがあるのだろうか? 私は知らない。
この関係・対応は地震予知とまではいかないまでも、信頼できる地震の予測につながるであろう。


JpGU(日本地球惑星科学連合) 2014 におけるこの分野の研究発表件数は多かった。
しかし、発表会場が狭く、聴衆が廊下まではみ出していた。
会場全体は広く、余裕がある会場が多かったことを考慮すると、主催者のこの分野への評価・思い入れが低いように感じられ、残念であった。


注目講演;地球惑星トップセミナー(メインホール)
宍倉正展: 巨大地震を掘り起こす -津波堆積物からわかること・わからないこと-

青山千春氏の講演  JpGU 2014 の発表

img_0[1]   青山千春さん

青山千春氏 の口頭発表 JpGU 2014 

JpGU(日本地球惑星科学連合) 2014 で青山千春氏(水産学博士)の口頭発表を聞いた。
青山千春さんは、独立総合研究所所長青山繁晴氏とご夫妻であり、同所取締役自然科学部長である。


20130630232739[1]   青山千春・繁晴夫妻

演題は、地方自治体におけるメタンハイドレート調査の試み 

2日目(4月29日)15:00からの<ガスハイドレート>のセッションで、会場は狭く、立ち席まで満員で、おまけに暑苦しかった。立見の人の腰の辺りにエアコンのスイッチがあり、誰かが触ったためスイッチOFFの状態だったようだ。<津波堆積物>のセッションも会場が狭く通路まではみ出していた。聴衆席に余裕がある会場が多く、全体として広い会場なので、主催者の運営に一工夫必要であった。

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4月、故郷へ帰ったとき地元紙で、 吉村美恵子山形県知事のメタンハイドレート開発への期待の記事を読んだ。

今回の青山千春氏の発表は、太平洋側和歌山県の依頼(予算)による魚探によるメタンハイレートプルームの調査結果である。予算規模が小さくて済むから、通産省の調査を待ちきれない県が行ったと思われる。


魚探によるメタンハイドレートの調査は、青山氏の確立された経験則に基づいた手法で、「メタンハイドレートの確認をしているか?」との質問があったが、「今回は確認していない」とのことであった。「それで良いのだ」というのが私の実感である。

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メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(MH21 Research Consortium)という平成13年にスタートした官民学共同組織がある(通産関係)。これまで、太平洋・南海トラフにこだわり、総額500億円以上を10年以上投じ調査・研究している。
南海トラフは日本海に比較しメタンハイドレートの貧鉱が多く、分布の深度も深く、開発に有利ではないと青山繁晴氏が述べている。(千春さんは繁晴氏が書いたものを読んだことがないと言っているらしいが)


今回のJpGUにおける発表は日本海の調査結果も多く、上述吉村山形県知事のコメントも通産省関係の調査結果によっているようだ。ここへきてようやく日本海側の調査・研究の実が上がってきたようだ。

しかし、この国家戦略的プロジェクトが、一部官僚、学者の面子(メンツ)により遅速が左右されるとしたらたまったものではない。国会議員よ、特に行政に関わる議員はよく勉強し、省益・メンツにこだわる官僚をコントロールせよ。

青山千春氏にはもう一つの敵がいるらしい。中国は彼女の調査を邪魔するらしいのだ。
(これより、尖閣問題もそうであるが、日本にエネルギー資源というジョーカーを与えたくないという中国の強い意図が感じられる。)

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 辻 幸弥 (つじこうや)

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