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食料自給率 農業問題3

瑞穂の国の稲作風景
                          瑞穂の国の稲作風景

 主要穀物の輸入量、価格、流通量など
    
    カロリーベース食糧自給率40%と低い原因はこれら穀物の輸入量が多いからである。
    穀物は広大な耕地で機械化大規模生産され価格が安い。


穀物輸入量(万トン)と価格(円)(2007/8年~2011/12年)

小麦
輸入量 (516~570)/世界流通量(11,643~14,296)=3.6~4.9%
価格(円):18~31/㎏=1080~1860/60㎏=18,000~31,000/トン
※日本は4~6位の輸入国
※国内生産量:57~91 ※世界の生産量:61,210~68,279(約6.8億トン)
※国産小麦価格:

とうもろこし
輸入量(1,598~1,661)/世界流通量(8,396~9,829)=17~20%
価格(円):15~25/㎏=900~1,500/60㎏=15,000~25,000/トン
※日本は世界1位の輸入国
※国内生産量:自給率0% ※世界の生産量:79,486~87,239(約8.7億トン)


輸入量(55~75)/世界流通量(2,934~3,209)=1.7~1.9%
価格(円):
カリフォルニア産:69~104.6/㎏=4,140~6,276/60㎏=69,000~104,600/トン
ベトナム産   :36~ 64.6/㎏=2,160~3,876/60㎏=36,000~ 64,600/トン
国産(2009年)  :  280/㎏= 16,773/60㎏= 279,550/トン
※日本は第11位の輸入国
※国内生産量:771~803 ※世界の生産量:43,265~45,632(約4.6億トン)

大豆
輸入量(325~401)/世界流通量(7684~9758)=3.3~5.2%
価格(円):40~54/㎏=2,400~3,240/60㎏=40,000~54,000/トン
※日本は世界3~4位の輸入国
※国内生産量:21.9~26.2 ※世界の生産量:21,196~29,145(約2.9 億トン)


<コメント>
  とうもろこしの輸入量が<米の国産量≒米の消費量>の約2倍、1600万トンとは驚きだ! 牛肉・豚肉・牛乳・鶏卵生産などの飼料が主であろう。コーン油、サラダ油、コーンスターチ、アルコール、…など。食用のみならず工業利用もある。 世界の流通量の約20%とは凄い輸入量だ! 

食料自給率 農業問題2

カロリーベース食料自給率を下げている主な要因

1 日本の穀物生産の実情
  瑞穂の国の伝統的な主食=カロリー源=米は、何割かパン食に代わられ、食事の多様化・嗜好化もあり、消費量が低迷している。減反と称し、国策で作付面積・生産量を制限している。

  また、小麦、とうもろこし、大豆などの穀類は輸入価格が安価で国内の販売価格も安く、日本の農家にとって魅力的な作物ではない。言い換えると、これら穀類は、生産規模、栽培技術などで、国際競争力がなく、生産量が少ない。 

2 作物の高級化・嗜好化
  農家は果物、野菜、肉類、花卉など高価格で売れる作物を栽培・生産し、さらに品種改良するなどして収入の増加を図っている。工業製品の輸出などで日本の国が富み、食事の嗜好化が進み、購買能力・消費能力が大きくなったことに支えられている。

  「我々が作ったものを高給取り達が買ってくれる。ありがたいものだ」昭和40年代生家の隣の農業後継者が語っていたことを思い出す。しかし、果物、野菜などはカロリーが少なく、カロリ―べース食料自給率への寄与率は小さい。

  友人は田圃を委託栽培に出し、花とメロンを主に栽培している。奥さんはフラワーアレンジメントの資格を取り、楽しみながら花を拡販している。地産地消だけではなく、東京銀座のアンテナショップまで・・・。しかし、花はどんなに高級で高く売れようと、カロリ―べース寄与率はゼロである。

3 肉食の非効率性
  食事の嗜好化で、食肉の消費量が増えたが、精肉を1㎏生産するのに必要な穀物(餌、とうもろこし)の必要量を次に示す。
  牛肉11㎏、豚肉7㎏、鶏肉4㎏、鶏卵3kg 
  ※ 牛肉25㎏、豚肉4.8㎏、鶏肉3.9㎏
  ※ 牛肉10㎏、豚肉4㎏、 鶏肉2㎏  などのデータも発表されている。

  食肉は主として輸入穀物を餌としているから、カロリーベース食料自給率計算の分母を大きくし、分子に殆ど寄与しない。即ち、カロリーベース食料自給率を著しく低減させる。



<考察>
1 日本の農業はカロリーが高い穀類のうち、まともに生産しているのは米だけである。農家は収入機会最大を求め高収入を得るために経営努力し、高級な果物、野菜、肉類、花卉などを栽培・生産し、日本の生産額ベース自給率65~70%を達成している。これは日本の国が富み、食事の嗜好化が進み、消費者の購買能力・消費能力が大きくなったことに支えられている成果でもある。生産額は先進国で米国に次ぐ第2位、生産額ベース自給率でも先進国第3位である。

2 農家が満足しているかどうかは別にして、現在、日本の農家は比較的豊かで恵まれていると思われる。よく言われる日本の農業が斜陽産業であるという認識は、一面しか見ていない偏ったものである。

3 一方、カロリーベース自給率は40%程度と低いが、この原因は生産者の問題ではない。国土・耕作地が狭く、米以外の主食穀物、飼料穀物は国際競争力を持ち難いからである。また、米食が消費者の嗜好により減少したことも一因である。

4 農林水産省(国)は、カロリーベース自給率が低いことを大きな問題とし、その対策に高額の税金を注いでいる。しかし、まず、農業という産業を成り立たせる政策こそ重要である。国に足を引っ張られながらも、幸い農家の努力で、日本農業はある程度のレベルにある、というのが私の現状認識である。


食料自給率  農業問題 1

日本の食糧自給率が39%。農林水産省から今年も発表された。
日本農業の実態と評価は?  問題点や理想は? 


日本の食料自給率の推移(%) ※1
  02年  03年 04年 05年 06年  07年  08年  09年  10年 11年
   40   40   40   40   39   40   41   40   39   39
   69   70   69   69   68   66   65   70   70   66
  (上段;西暦年度  中段;カロリーベース※4  下段;生産額ベース※5

2009年度主要先進国のカロリーベース自給率の順位と自給率(%) ※2
 1位カナダ223 2位オーストラリア187 3位アメリカ130 4位フランス121 
 5位ドイツ93 6位スペイン80 7位スウェーデン79 同率9位オランダ65 
 イギリス65 10位イタリア59 11位スイス56 12位韓国50
 ノルウエー43 日本40 台湾32 


農業生産額 2005年度国際連合食料農業機関(FAO)発表 ※3
 1位中国 2位米国(1775億ドル) 3位インド 4位ブラジル 5位日本(826億ドル) 
6位フランス(549億ドル) 7位ロシア 13位ドイツ(379億ドル) 
17位オーストラリア(259億ドル) 18位イギリス(184億ドル)
 
農業生産額の異論
 ※3の日本のデータは国内の価格換算値(実取引)である。例えば2009年国内生産者米価は16,773円/60㎏であるが、FAOはタイ産精米の輸入価格1,573円/60㎏に近い291ドル/トンで計算している。全品目をこのような国際流通価格として計算すると、826億ドル=約8兆円(農水省発表8.5兆円)は1.5兆円まで減額する。日本は生産額世界第9位、先進国では英国と並んで第6位になる。

異論の評価
 タイ産は長粒米である。異論では、せめてカリフォルニア米の輸入価格(価格例;95円/㎏=5,700円/60㎏)を用いるのが日本人の好みを入れた評価であろう。野菜、果物、花卉などは高品質と地産地消の立場から※3のデータは妥当と思われる。確かに※3は保護された農業生産額であり過大な評価値である一面はあるが、現在の日本農業の実際の生産額=収入額であることに間違いはない。

※1 平成23年度食料自給率をめぐる事情 平成24年8月 農水省(ネット検索)
※2 諸外国の食料自給率(カロリーベース)の推移(1961~2011) 農水省(ネット検索)
※3 日本は世界第5位の農業大国;浅川芳裕著 講談社+α新書
※4 カロリーベース食料自給率=(国産+輸出)/(国産+輸入―輸出)
※5 生産額ベース食料自給率 =(国内生産額)/(国内生産額+輸入額―輸出額)



<考 察>
 問題視されている40%前後の自給率はカロリーベースである。国産米食から輸入小麦パン食への変化、収入増による食事の肉食化、など贅沢になったことが原因でカロリーベース自給率は低下している。日本人の嗜好により低下しているのである。農業は収入機会最大を求めるビジネスであるので、農水省が大好きなこのカロリーベース自給率という指標には問題がある。

 生産額ベース食料自給率で100%を上回る先進国は米国とフランスだけで日本の65~70%はそれに次ぎ3位。4位ドイツ、5位英国。生産額ベース自給率より評価すると先進国の中で日本は農業大国である。この事実は、最大収入機会を求める農家の経営努力によるもので、農水省は足を引っ張っている可能性さえある。

 農業生産額は人口が多い中国(13.5億人)、インド(12億人)が1位、3位を占める。2位の米国(3.1億人)は先進国であり農業大国でもある。4位のブラジルは人口約2億人の農業大国。それらに次ぐ5位の日本(1.28億人)は農業生産額で農業大国といえる。6位のフランス(0.65億人)は先進国で農業国である。

 日本の農業は保護されているが、保護はプラスに働く場合とマイナスに働く場合の両面があり、農水省の過剰な関与には問題がある。
 
    
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 辻 幸弥 (つじこうや)

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