吉村昭 2

吉村昭2

 吉村昭の地震・津波に関する3つ目の著作は

 「落日の宴・勘定奉行川路聖謨」 1996年4月刊
 安政の大津波  1854年(嘉永7年)11月4日 M8.4

 吉村昭がもっとも心動かされる人物を書いたこの歴史長編の中に、ロシア提督プチャーチンと交渉中に襲来した安政の大津波のことが詳細に記述されている。プチャーチンの船ディアナ号も被災し、後、回送中に沈没する。

 徳川幕府は鎖国の立前から食料・物資などは無償供給した。ロシア側から被災した傷病者を手当する申し出もあり、厳しい折衝ではあったが、川路聖謨(かわじとしあきら)(徳川幕府)とプチャーチン双方に互いに尊敬の念が生まれた。ロシア側歴史資料で川路聖謨は尊敬されているという。

 このとき結ばれた条約が日本国露西亜国通好条約(1855年、別称;日露通好条約、日露和親条約、下田条約)である。

 現在の北方4島問題の日本の主張は、このとき決められた国境に基づく。今、ロシアは共産主義国家ではないし、資源立国から脱しようとしている。日本の技術が欲しいのである。プチャーチンと語呂が似ている独裁者プーチンとの交渉は日本にとってまたとないチャンスであろう。

 国家間外交も結局は人間対人間の交渉である。俯いてもエバっても駄目である。外交交渉は川路聖謨を模範とし、真摯に、凛として格調高く、ときに臨機応変な妥協も必要であろう。
 

 真摯に謙虚に評価すれば原発事故を防ぐに十分な叡知の蓄積があった(プロローグの一節)

 この真摯という言葉の重要性について、私はAKB48前田敦子(当時)に教わった。映画「もしドラ」(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら)を観たからである。学ぶことができない資質、後天的には獲得することができない資質、始めから身につけていなければならない資質がひとつだけある。才能ではない。真摯さである(マネジメント(ドラッガー))。

 国の組織、東京電力にこの真摯さという資質が欠けていたから原発事故は起きたのではないか。折角の進言・提案を無視し門前払いし続けたのは真摯さに欠けていたからに他ならない。純粋に競争にさらされる民間企業なら真摯さがなければ潰れてしまう。上級レベルの国家公務員ほど「真摯」さという採用基準が必要なのではないだろうか。 


 以上


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