渡部昇一

1204872413_main_l[1] (2) 追悼出版 月刊「WiLL」「歴史通」共通 


渡部昇一

渡部昇一氏(1930年(昭和5年)10月15日 - 2017年(平成29年)4月17日)が亡くなった。
「知の巨人」「碩学」「博覧強記」...と称される氏は私の郷里鶴岡の先輩で高校の先輩でもある。
専門は英語学史、文法史。二十歳代で英国に於いて出版した専門著書があり、高く評価されているという。
一方、読書、論評、著述の多様さは「碩学」「博覧強記」の名に相応しく、まさに「知の巨人」であった。

氏が終生大切にしたお姉さんの旦那さんは遠い親戚筋にあたる人で、ある年の夏、私が生まれ育った家の前庭の木陰で赤ん坊(氏の甥)を抱いたその人と兄貴たちが語り合っていたことを思い出す。岩手県岩泉へ仕事に行ったとき、地元の名士と呼ばれ黄綬褒章を受章したばかりの人に、私の今があるのはその人のおかげと、尊敬されていた立派なひとであった。また、そのひとに頼まれて渡部昇一氏に自家産のメロンを贈答品として送っていたことを父が話していたことも思い出す。

渡部昇一の著書を読むことで、読書の面白さを知り、知性的刺激を受け、好きだった歴史がますます好きになった。文章は簡潔で分かりやすく名文である。渡部昇一、藤沢周平、丸谷才一を我が高校の先輩の三名文家と思っている。

記憶に残る主な著書を示すと
『ドイツ参謀本部-その栄光と終焉』 中公新書、1974年 のち文庫祥伝社新書
『腐敗の時代』 文藝春秋、1975年 のちPHP文庫 第24回日本エッセイスト・クラブ賞受賞
『日本史から見た日本人 アイデンティティの日本史』正続 産業能率短期大学出版部 1973年-1977年 のち祥伝社黄金文庫
『日本語のこころ』 講談社現代新書 1974年 「渡部昇一の『日本語のこころ』」ワック
『知的生活の方法』 講談社現代新書、1976年 ISBN 4061158368
『英語教育大論争』 平泉渉と共著 文藝春秋、1975年 のち文庫
『漱石と漢詩』 英潮社出版、1974年
『萬犬虚に吠える』 文藝春秋、1985年 のちPHP文庫、徳間文庫 など
これら著書の特徴は、原書、一次資料によるオリジナリテイーに富むもので、他人に真似こそされ、真似事はない。


渡部昇一は論争を恐れない。
日本の戦後の論壇は東大以下著名大学がマルクス左翼思想に染まっていたこともあり、その弟子たちが大学、官僚、マスコミなどの世界を支配し、未だに左翼こそ良識という基準が日本を支配している。氏ほどの知性が国際的に開かれた教授陣を持つ「上智大学」を卒業したのは、日本の思想の多様性のために幸いだったと思う。氏はドイツ、イギリス、アメリカに留学し、教壇に立ち、外国から日本を観て、その視野で歴史観を醸成した。

特筆すべき論争相手は「朝日新聞」である。
朝日新聞は未だに「マルクス主義史観」に支配されているらしいが、氏の史観は左翼全体主義でも右翼全体主義でもない。
東西の万巻の書を読み培われたものである。

「朝日新聞」の森に埋没し迷っているひとは、この際、氏の著書を読むことをお勧めする。
森の中の高台に昇り、遥か彼方まで見通すための指標となるであろう。


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